行川アイランド

1.概要

行川アイランドは、かつて千葉県勝浦市浜行川に存在していた大規模なレジャー施設で、動物園や植物園、ホテル、プールなどを備えた南国リゾート型の観光地だった。運営は日本冶金工業の関連会社によって行われ、敷地面積は約45万平方メートルに及ぶ。園内には熱帯植物やフラミンゴ、孔雀など南国の動物が多数飼育され、「フラミンゴショー」や「孔雀の飛行ショー」が特に人気を集めた。夜にはバーベキューやダンスショー、ヒーローショーなども行われ、昭和の時代を象徴するリゾート空間として賑わっていた。

開園は1964年8月13日。当時は高度経済成長期で、家族旅行ブームの真っただ中にあり、1970年には年間入場者数が117万人を突破。外房線には専用の「行川アイランド駅」まで設けられ、駅を降りれば目の前が楽園という立地が多くの観光客を惹きつけた。しかし1970年に鴨川シーワールドが開業すると、人気の中心がそちらへ移り始める。さらに時代の流れとともに施設の老朽化が進み、ショー用動物の高齢化や維持費の増大も重なって経営は徐々に悪化。2000年には年間入場者数が19万人ほどにまで減少し、最盛期の面影は薄れていった。

行川アイランドでは、フラミンゴや孔雀だけでなく、キョンと呼ばれる中国南部や台湾原産の小型のシカも飼育されていた。1980年代頃、台風や施設の老朽化によって檻が壊れ、数頭のキョンが園外に逃げ出したとされている。以降、天敵がほとんどいない房総半島で繁殖が進み、勝浦市や鴨川市を中心に野生化。1990年代にはすでに山間部で群れが確認されるほど増えていた。現在では千葉県全体に分布を広げ、農作物への被害が問題視される一方で、行川アイランドが残した“生きた遺産”として語られる存在にもなっている。

2001年3月、日本冶金工業の取締役会で閉園が正式に決定。同年8月31日をもって37年の歴史に幕を下ろした。閉園後も「行川アイランド駅」は無人駅として存続したが、施設自体は放置され、現在では完全に廃墟と化している。建物は朽ち果て、入口のトンネルには鉄柵が設けられ、立ち入り禁止になっている。

現在、跡地は荒廃したまま長らく手つかずの状態が続いているが、「勝浦シーサイドパークリゾート」として再開発する構想も浮上している。ただし敷地の一部が南房総国定公園に指定されており、環境保護との両立が課題となっている。かつて千葉の外房を代表した南国リゾートは、今では静かに草木に覆われ、そして山に響くキョンの鳴き声が、かつての賑わいを遠く思い出させる存在となっている。

2.当時の映像

3.実際に行ってみた

行川アイランドの最寄り駅は名前の通り行川アイランド駅。行川アイランドは閉園したものの駅の名前のみが生きている。

駅を出ると南国のような雰囲気がある。「駅を降りれば目の前が楽園」当時行川アイランドがそう言われていたのがよく分かる。

改札を出るとすぐに勝浦の地図が出てきた。行川アイランドがまだあった頃から使われていたであろう地図。左下に行川アイランドがしっかりと載っている。

奥の正面入り口は完全に閉鎖されている。

駐車場跡の一番右端にも閉鎖された入り口がある。

さあここから探検の始まりだ。今日は初めて巨大な廃墟に一人で来たから緊張している。

最初に潰れかけた廃車がお出迎え。なんだか怖くなってきた。

一つ目のトンネルがある場所に到着。

トンネルの中に入った途端、キョンのような小動物が一瞬見えた。気のせいか?

トンネルを抜けた。

ピンクのカバの遊具がある。このカバもかつては子供達に愛されていたのだろう。

二つ目のトンネルを発見。

やっぱりキョンのような小動物の気配を感じる。

トンネルを抜けると目の前には壮大な海の景色が見えてきた。

当時の道が残っているため容易に進める。

しばらく進むと、日本庭園跡が見えてきた。

今ではもう日本庭園の面影すら無くなっている。閉園になってからの時間の経過を感じる場所だ。

二つのグラフィティアートに挟まれた三つ目のトンネルに到着。

このトンネルは僕が一番楽しみにしていた場所だ。ワクワクする。

トンネル内は波のデザインが施されている。

ナイトモードで撮影。フラミンゴの看板が残されている。

天井にはコウモリがいる。コウモリにとってトンネルは絶好の居場所だ。

インコの看板。

何かが入っていたであろう水槽。

トンネルを抜けると広大な敷地が!僕一人で満喫していいのか!?

ここでヒーロショーやダンスショーをしていたのだろうか。

そして次の場所に進んでいる時、奥のトンネルにキョンの影が!撮影できなかったが確かにキョンがトンネルの中にいた。いくらキョンでも野生の動物は怖くて近づけない。

キョンを見てしまいここに一人でいることが怖くなってきた。急いで回って帰ろう。

当時の階段が残っていた。

草をかき分けながら進んでいく。

動物がいた場所だろうか。岩が積み上げられている。

そして行川アイランドの目玉スポット、エメラルド海水プールが見えてきた。

当時このプールは多くの人で賑わっていた。

こっちにもプールがある。このプールには滑り台が付いている。一個しかない滑り台を多くの子どもが列をなして滑っていく様子が思い浮かべる。

今ではもし滑ったりしたらバクテリアだらけの水の中にドボンだ。

この建物は、行川アイランドホテルだ。最下層部以外は解体されている。

今日は台風の影響で波が強い。

夏はここで泳ぐのも良さそう。

難易度:★★★☆☆

全ての入り口が閉鎖されているため、管理人の許可が必要。山を少し登ってアクセスする方法もある。

怖さレベル:★★★☆☆

野生動物の気配を感じる。

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